知らないと悪化する?半月板損傷の原因と治療法をわかりやすく解説!

リハビリ

「膝に違和感…それ、ただの疲れじゃないかもしれません。」

階段の上り下りでズキっと痛む。しゃがんだ後に膝が伸びにくい。

そんな症状、放っておいていませんか?

実はそれ、スポーツ選手だけでなく日常生活でも起こり得る「半月板損傷」のサインかもしれません。

この記事では、半月板損傷の原因や症状、治療法をわかりやすく解説していきます!

原因

原因は大きく分けて2つあります。

①加齢

中高年以降に多く、日常生活の中で徐々に痛んでいくケースです。

・加齢による組織の変性(すり減り)

・繰り返される小さな負荷や摩耗(例:長年の膝の使い過ぎ、正座の習慣など)

明確なケガをしていなくても、ある日突然痛みや違和感を感じることがあります。

②外傷

若年層やスポーツをしている人に多くみられます。

・急な方向転換やジャンプの着地時の衝撃(例:サッカーやバスケ、ラグビーなど)

・膝がねじれる動きや過度な屈伸(例:スキーでの転倒、膝をひねったときなど)

膝関節に急激な負荷がかかることで、半月板が裂けたり、断裂したりします。

症状

多くの場合、膝が腫れる、体重をかけたり動かしたときに膝の痛みや違和感などがあります。

それに加え

  • giving way(膝崩れ)・・・歩行時や運動時に膝がガクッと急に抜ける
  • catching・・・膝を動かした時の引っ掛かり感や何か挟まっている感覚
  • locking・・・膝が曲がったまま、もしくは伸びたまま動かない

などの症状も認める場合があります。

半月板とは?

「そもそも半月板ってなに?」

そう思われる方もいると思うので、ここでわかりやすく解説したいと思います。

半月板とは、膝関節(大腿骨だいたいこつ脛骨けいこつの間)に存在する軟骨の一種です。

下の図のように外側と内側の2つあり、それぞれ「外側がいそく半月板」「内側ないそく半月板」と呼びます。

役割としては

  • 衝撃吸収
  • 関節の安定性を高める
  • 関節を動きやすくする
  • 関節軟骨への栄養補給

となっており、とても重要な組織です。意外と多いと思ったのではないでしょうか。

このように半月板は膝関節をサポートする機能を担っています。

治療法

次に、どのような治療法があるのかを紹介していきたいと思います。

保存療法

手術をしない方法です。損傷が軽度である場合に選択されます。

  • 関節注射・・・関節内にヒアルロン酸を注入し、関節を動きやすくすることで半月板への負担を軽減します。
  • 薬物療法・・・鎮痛剤で痛みをコントロールします。
  • 運動療法(リハビリ)・・・膝関節周囲の筋力を向上させ、筋肉で支える力をつけて半月板への負担を軽減します。
  • 物理療法・・・アイシングや電気治療で痛みをコントロールします。
  • 装具療法・・・サポーターを装着し、膝関節を安定させることで半月板への負担を軽減します。

これらを組み合わせて行います。

手術療法よりも治療に時間はかかりますが、半月板を温存できるため、変形性膝関節症になりにくいというメリットがあります。

手術療法

保存療法での効果が期待できない場合は、手術療法の適応となります。

大きく分けて2つありますが、半月板の損傷様式損傷部位範囲靭帯損傷合併の有無などによって術式が決められます。

いずれも内視鏡で行う手術ですので、傷は小さくて済みます。

1)半月板縫合術
損傷した場所を縫合する術式です。

保存療法同様、治療に時間はかかりますが、半月板を温存できるため、

将来的に変形性関節症になりにくいというメリットがあります。

2)半月板切除術
損傷部位を切除してしまう術式です。

半月板には血管がある部位ない部位があるのですが、血管がない部位の損傷や変性、縫合しても治る見込みが低いと判断された場合に行われます。

リハビリ

半月板損傷の治療法について解説しましたが、

保存療法、手術療法いずれにおいてもリハビリが重要となってきます。

ここからは各治療法におけるリハビリの流れ、代表的な運動を紹介していきます。

流れ

いずれも術翌日からリハビリが開始しますが、手術によって流れが異なります。

半月板切除術の場合は、

術翌日より全荷重(全体重をのせる)が許可されます。

痛みがある場合は、松葉杖を使用することもあります。

半月板縫合術に関しては、縫合部に負担がかかって再断裂しないように、

術翌日から数週間は免荷めんか期間といって、体重をかけない期間が設けられます。

その後は体重の1/3もしくは1/2と部分的に体重をかける期間を経て、全荷重へ移行していきます。

また、膝を曲げる角度に関しても、早期から深くまで曲げてしまうと

同様に縫合部への負担がかかるため、最初は90°まで、数週間後は120°と徐々に拡大していきます。

代表的な運動

半月板損傷のリハビリでは、関節可動域と太ももの筋肉(大腿四頭筋だいたいしとうきん)の筋力向上が重要になってきます。

まさしく現在治療中の方もいらっしゃると思うので、

自宅で自分でできるものを例として挙げていきます。

関節可動域練習

関節の可動域を維持・拡大する目的で行う練習です。

下の画像のように、タオルを引っ張ってアシストしながら膝を曲げていきます。

痛みが生じない範囲で行ってください。

セッティング

太ももの筋肉(大腿四頭筋だいたいしとうきん)に力を入れる練習です。

下の画像のように、膝を伸ばした状態でタオルを膝の裏で押しつぶすように力を入れます。

この時に太もも、特に内側は内側広筋ないそくこうきんといい、膝の安定性に大きく関わる筋肉ですので、

そこを意識して力を入れましょう。

SLR

太ももの筋肉(大腿四頭筋だいたいしとうきん)の筋力向上目的で行います。

下の画像のように、足まっすぐにして30°程度挙げます。

この時に、膝が曲がらないよう太ももにしっかり力をいれましょう。

日常生活での注意点

半月板損傷を悪化させない、または縫合部への負担をかけないためには

日常生活で工夫することが大切です。

僕たち理学療法士は、リハビリと一緒にそのような生活指導も実施しています。

いくつか例を挙げていきます。

①階段の昇り降り

1段ずつ足を揃えて上り下りします。 

順番としては上る時は痛くない方の足から下る時は痛い方の足から行います。

また、手すりを使用することでさらなる負担の軽減を図ることができます。

②正座・しゃがみ込みを避ける

膝を深く曲げると半月板に強い圧力がかかります。

低い位置での作業をどうしてもしなければならない場合は、低めの椅子を使用するか、

痛くない方の足を前に出し、もう一方の足を後ろに引いて片膝立ちの姿勢で行いましょう。

③重い物を持たない

荷物を持つことで膝への負担が倍増します。

どうしても必要な場合は、身体の近くかつ両手で持つようにしましょう。

まとめ

  • 原因
    加齢と外傷の2種類に分けられます。
    中高年に多いのは変性や長年の膝の使い過ぎによる摩耗であり、
    若年層に多いのはスポーツでの急激な負荷や膝をひねった時といわれています。
  • 症状
    膝が腫れる、体重をかけたり動かしたときに痛みや違和感が生じます。
    他にも、膝の力がガクッと抜ける、引っ掛かり感がある、曲がったまま動かないなどの症状を認めることもあります。
  • 半月板とは
    膝関節(大腿骨だいたいこつ脛骨けいこつの間)に存在する軟骨の一種です。
    役割として衝撃吸収、関節の安定性を高める、関節を動きやすくする、関節軟骨への栄養補給があります。
  • 治療法
    保存療法と手術療法があります。
    手術療法は損傷の程度によって、半月板縫合術と半月板切除のどちらをするかが決められます。
    リハビリに関しては、切除術では術翌日から体重をかけれますが、
    縫合術では数週間の免荷期間と膝の可動域の制限が設けられます。
    いずれも関節可動域と大腿四頭筋の筋力向上が重要であり、
    加えて日常生活で半月板に負担をかけないことも求められます。

いかかでしたでしょうか。

この記事で少しでも半月板損傷について知っていただければ幸いです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

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