五十肩を治すためには最初が肝心!今後の治療をよりよくするためのリハビリを理学療法士が解説

リハビリ

肩の痛みや動かしづらさを感じていませんか?

それはみなさんがよく耳にする「五十肩」の症状かもしれません。

痛みが治まらず整形外科を受診。五十肩と診断された多くの方は、「鎮痛剤の内服やステロイド注射で様子をみて、炎症が治まるのを待ちましょう」という方針になると思います。

炎症がある期間はむやみに動かすとかえって悪化してしまうというのは理解できると思います。

ただ、具体的にどの程度動かしていいかわからず、とりあえずなるべく動かさないようにしている方は多いのではないのでしょうか?

さらに、痛みで夜間に何度も目が覚めてしまって辛い…という方もたくさんいると思います。

そこで今回は炎症を起こしている時期でも肩関節に負荷をかけすぎずにできるリハビリ夜間の痛みを軽減する姿勢を紹介していきます。

症状が出始めの時期に痛みを管理しながらできることをやることは、今後の回復を大きく左右します。

五十肩の早期改善を目指して一緒に頑張っていきましょう!

五十肩とは?

加齢により肩のまわりの筋肉や軟部組織が変性し、炎症が起きることで、痛みと可動域制限を生じる症候群のことを指し、「肩関節周囲炎」とも呼ばれます。

例として以下のものが要因といわれてますが、原因不明のものもあります。

  • 腱板断裂けんばんだんれつ・・・腱板(肩のインナーマッスル)が変性または外傷により断裂
  • 腱板炎けんばんえん・・・腱板(肩のインナーマッスル)が変性または外傷により炎症が起きる
  • 石灰沈着性腱炎せっかいちんちゃくせいけんえん・・・腱板(肩のインナーマッスル)内にリン酸カルシウムが沈着し、炎症が起きる
  • 肩峰下滑液包炎けんぽうかかつえきほうえん・・・肩峰下滑液包けんぽうかかつえきほう(潤滑液が入った袋状の組織)が炎症が起きる
  • 上腕二頭筋長頭腱炎じょうわんにとうきんちょうとうけんえん・・・上腕二頭筋の腱(筋肉の端)に炎症が起きる

また、好発する年齢層としては50歳頃を中心に30歳代~70歳代まで及び、女性の罹患がやや多いといわれています。

リハビリ

① 振り子運動

肩関節の可動域練習になります。これを行うことで、関節周囲の組織が固まってしまうのを防止し、可動域制限を最小限にすることが期待できます。

下の画像のように、テーブルなどに掴まって前かがみになり、腕を脱力した状態にします。

そのまま体幹を前後に揺らして、その反動で肩関節を振り子のように動かします。

ポイントはしっかり脱力することです!

脱力せずに肩関節に力を入れて動かしてしまうと、筋肉の収縮が起きて痛みを生じてしまう可能性があるので注意しましょう。どうしても力が入ってしまう方は、脱力するところから始めるといいと思います。また、水の入ったペットボトルなど、何か重りになるものを持つことで脱力しやすい場合があるので、どうしてもできない方は試してみるのもおススメです。

正直、この運動は実際のリハビリ場面でも一回で上手くできない方がほとんどです・・・。

そのため、最初は小さい範囲でもいいので、まずは脱力と痛みが伴わないというのを念頭において行いましょう。

② 肩甲骨の運動

肩甲骨は肩関節を形成しており、腕を挙げる時に連動します。

痛みで肩関節を動かさないと肩甲骨を動かす筋肉も弱ってしまい、腕が上手く挙がらなくなってしまうため、肩甲骨を動かすこともとても重要です。

肩甲骨の周りの筋肉を鍛える運動は2つあります。

1つ目は、肩をすくめる運動です。画像のように、肩甲骨を上に挙げて下ろすを繰り返します。

主に僧帽筋そうぼうきんという筋肉の上部を鍛える運動になります。

ポイントは、下げる時にしっかり脱力することです。五十肩の患者さんでは、この肩をすくめる時に働く首~肩にかけての筋肉の緊張が高まっている場合が多いです。その筋肉の緊張が高まっていると、いわゆる「肩こり」が起きて、痛みが生じてしまいます。肩甲骨を挙げた後に、脱力することでその筋肉の緊張が緩和される効果もあるので、意識して行いましょう。

2つ目は、肩甲骨を背骨に向かって引き寄せる運動です。

主に菱形筋群りょうけいきんぐん大菱形筋だいりょうけいきん小菱形筋しょうりょうけいきん)を鍛える運動になります。

左右の肩甲骨の間にしわを作るようなイメージで行うのがポイントです。

また、肩甲骨ではなく肩関節を後方に引いて行ってしまうと痛みを伴う恐れがあるため、肩関節は動かさないよう手をお腹の前で組んで行うのがおススメです。

③ 就寝時のポジショニング

夜間の痛みは、画像のように腕が体幹よりも後方に位置することが痛みの原因になっていることが多いといわれています。

そのため、肘の下にタオルやクッションを置いて腕が体幹と同じラインもしくは前方に位置するよう調整しましょう。この時に肩と床との隙間も埋めると、より肩の力が抜けやすいです。

また、腕が内側に入り過ぎることも痛みの原因となるため、下の画像のようにクッションを抱えるようにしましょう。

④ アイシング

初期の段階では炎症があるため、冷やすことによりそれを抑えることで痛みの軽減につながります。

ただ、冷やしすぎも関節が固まってしまう原因になり得るため、1回15~20分程度とし、次のアイシングまでは1~2時間程度間隔を空けるとよいとされています。

まとめ

今回は五十肩における、主に初期症状の方へのリハビリ方法を紹介させていただきました。

冒頭でも述べましたが、痛みが強い時期は安静によって炎症が治まるのを待つのは大事ですが、まったく動かさないでいると、可動域制限や筋力低下が大きくなってしまい、今後の改善具合にかなり影響してしまうため、今回の記事を参考にしていただき、少しでもみなさんの症状がスムーズに改善する一助になれれば幸いです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. あじたま より:

    とても参考になりました!

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