今回は「人工股関節」について紹介していきます。
文字通り股関節を人工物に変える手術ですが、具体的にどのような構造になっているのか、どんなメリットやデメリットがあるのかはわからない方もいると思います。
しっかりと理解し、今後の治療や指導に活かせるよう一緒に学んでいきましょう。
人工股関節とは
股関節を形成する大腿骨と骨盤の接続部を人工物に置き換える手術です。
- 変形性股関節症
- 大腿骨頭壊死
- 関節リウマチ
- 大腿骨頸部骨折
主に上記の疾患による関節の変形や変性・摩耗が原因の痛みにより、日常生活に支障をきたす状態となったときに除痛目的で行います。
同じ人工股関節でも変形性股関節症、大腿骨頭壊死、関節リウマチに対しては人工股関節全置換術(THA)、大腿骨頸部骨折に対しては人工骨頭置換術(BHA)を行います。
- 人工股関節全置換術(THA)・・・大腿骨側と骨盤側、両方にインプラントを設置
- 人工骨頭置換術(BHA)・・・大腿骨側のみインプラントを設置
ここが二つの違いになります。下の図は人工股関節全置換術(THA)の例です。

左の図のように、股関節を形成する大腿骨の骨頭部分を切除し、大腿骨を削って穴を空け、ステム部分を差し込みます。また、骨盤側の関節面も削り、カップを設置し関節を形成します。
メリット・デメリット
メリット
- 股関節痛が改善する
→痛みの原因となっている関節を除去するため、早期に改善する方が多いです。 - 関節可動域が増加する
→今まで痛みにより動かせなかった範囲も動かせるようになります。 - 左右の脚の長さ(脚長差)が揃い、歩きやすくなる
→術前から関節が摩耗することで脚長差がある方は改善が期待できます。
デメリット
- 感染のリスクがある
→手術により細菌が侵入すると感染を起こしてしまいます。 - 脱臼のリスクがある
→手術の方法で異なりますが、ある特定の肢位をとると脱臼してしまう恐れがあります。
感染に関しては、術中・術後ともに感染を最大限に予防するため確率は高くないですが、リスクとしてあるので覚えておきましょう。
2つの目の”脱臼”がこの手術の最大のポイントとなってきます。脱臼を起こさないように介入や動作の指導を行うのも我々の役目としてかなり重要です。
具体的な内容は別記事に記載するので、読んでいただけると嬉しいです。
まとめ
今回は、人工股関節の対象や構造、メリット・デメリットを紹介させていただきました。
脱臼が最大のポイントになるとお話ししましたが、構造を知ることで「脱臼の仕組み」や「脱臼肢位」を各段に理解しやすくなるため、しっかり覚えておきましょう。
それに関する記事は【人工股関節】なぜ脱臼するの?脱臼肢位を踏まえて、脱臼の仕組みまで徹底解説をぜひ読んでいただきたいです!
新人の理学療法士のみならず、これから手術する予定がある・手術した経験がある方のお役にも立てれれば幸いです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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